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子育てイルカが笛を吹く

水族館飼育員が子育てのコト、動物のコト、おすすめ水族館・動物園のコトを書いています

無免許運転の高齢者と事故を起こしてしまった話

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先日、母ちゃんが近所のスーパーの駐車場で事故にあった。しかも相手が免許を持っていない(不携帯ではなく無免許)人であった。事故処理から示談までいろいろと面倒なことばかりだったので忘備録がてら残しておく。

いきなり事故したって言われて落ち着いて対応できる人いる?

朝、イルカの健康チェックを行うために、体温計をお尻の穴に挿入していた時だ。普段はプールに来ることがめったにない平均体重底上げ担当大臣の事務員さんが「お、奥さんから電話ありましたよ」と血相を変えなが私のところへ走ってきた。

仕事中でも母ちゃんが電話してくることは珍しいことではない。「今から水族館遊びにいくね」とか「子供の熱が出たからお迎えシクヨロ~」とか…。しかしそれは携帯にかかってくるのであって仕事場に直接かかってくることはない。何かしらの事件が起きたことはその時点で明白だった。

 体温計をお尻にブッ込んだままイルカを放置し、私は事務所に走った。後から聞いた話だが、平均体重底上げ担当大臣はその後しばらく貧血のためにショーステージでうずくまっていたらしい。その姿がセイウチにそっくりだったというのはココだけの話にしておこう。

机の引き出しから携帯を取り出すと5件ほどの着信があった。そのすべてが母ちゃんからで、いそいで電話をかけなおした。呼び出し音が鳴っている間中「どうか子供が無事でありますように」と願っていた。

2~3秒後だろうか、「もしもし」と母ちゃんが電話に出た。それにかぶせるように「どした?」と聞く。どうやら、朝娘を保育園に送る→帰りに近所のスーパーに立ち寄る→駐車場で車をぶつけられる→相手の車から80を超えたじいさんとばあさんがおりてくる→警察呼ぼうとしたら二人に阻止される→話を聞くと二人は免許を持っていないことが発覚→示談にしてほしいと懇願される→母ちゃんは二人に同情して金縛り状態→どうするべきかと私に電話する。という状況であった。

事務所で私の雰囲気を感じていくれていた上司が、「すぐに行ってあげなさい」とありがたいお言葉をかけてくれた。危うくこのまま抱かれてもいいと思ったが、その時はそれどころではなかった。その言葉に甘え、母ちゃんのところに駆けつけることにした。この後このイケメンが、打ち上げらたセイウチを救出する際に、下半身が動かせないほどのぎっくり腰になるとは、この時誰も知る由もなかった。

老人と若者が事故したら、若者が悪者扱いされるよ

 スーパーの駐車場に着くや否や、母ちゃんの怪我の状況を確認する振りをしながら、横目で愛車の傷を確認した。助手席側のリア扉とリアバンパーにざっくりと擦り傷があった。

頭をポリポリしながらヨボヨボ歩きのじいさんとばあさんが隣に停車していた車からでてきた。対面するや否や、ばあさんが示談の話を始めたため「(まず謝罪せんかい!)」とムッとしたがそこは私も大人だ。ここは冷静にならなければと「警察を呼ばせてもらいます」と言った。「そりゃ困る」とか「お金なら何とかする」と私を説得しようとするじいさんとばあさん。正直に言うとこの場で示談にして、修理費と称して多少の上乗せ料金を請求したろか?という下心がゼロではなかった。

無免許運転は大事故につながっていてもおかしくない立派な犯罪である。ましてや高齢者の危険運転で多くの人が亡くなっていることは今や社会問題だ。この場でこの事故を示談にして、じいさんを世に放てば再び事故が起きる可能性だって残されてしまうだろう。母ちゃんがじいさんばあさんに同情したい気持ちはわからないでもなかったが、ここはきっちりと警察を呼んで事故処理をすることにした。

警察に連絡をする姿をみたじいさんとばあさんは観念したのか、車に乗り込み魂が半分抜けかけた状態になっていた。時折私にイラつくそぶりを見せてくるのは意味が分からなかったが、罪を犯したのはあなたたちだ。しかも、あなたたちが子供のように駄々をこねたおかげで、数人のやじ馬が集まっていた。周りから見れば私が老人二人をカツアゲしているように見えなくもない光景だった。張り紙でもしてきっちり周りに説明したい気分だった。

 警察に連絡した後スマホを取り出し、到着するまで修理費について調べていた。無免許ということは任意保険には加入していないだろうし、大変申し訳ないが、じいさんとばあさんの身なりや車(ボロボロの傷だらけの軽自動車)を見ると、直接二人から修理費を回収することはできないんじゃないか?とその不安に襲われていたからだ。

 無免許運転を証明するのは一苦労

警察が到着し、もろもろの事故処理をした。免許の提示や事故の経緯を説明する。じいさんとばあさんは離れた場所で取り調べを受けていた。無免許だということも警察には話していたので、今度は無免許運転についての取り調べが始まった。母ちゃんが見たじいさんが運転していることを事細かく話をする。じいさんも無免許運転を認めてはいるが、それだけではじいさんの無免許運転を証明することは難しいらしい。そのために、スーパーの防犯カメラの録画を確認しなかればならないと警察が言い出した。ここまで取り調べが始まって1時間弱経過している。母ちゃんはこれから仕事があるためこれ以上は取り調べに付き合えないことを警察に話す。今まで聞いたもので調書を作成するので、それが完成したら再度確認してほしいとのことだった。承諾し私たちは開放された。夕方には調書が完成しているとのことだったので仕事が終わったら子供を迎えて警察署に行くこととなった。警官に送迎を依頼することもできるそうだが、さすがにパトカーで仕事場や保育園に来られても、それをネタにするには少々めんどうだと思ったので丁重にお断りさせてもらった。

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警察署でかつ丼はでないけど、剣道教室やってるよ

18時半ごろ警察署についた。すぐに朝方の警官が出迎えてくれた。取調室、というよりは応接室のような場所に通された。両親二人が緊張しているためか娘もすこしばかり緊張していた。上の階では小学生が剣道の稽古しているのだろう。かわいく勇ましい声が聞こえていた。警官が、足を運んでくれたことのお礼と、あの後のじいさんとばあさんのことについて話し始めた。じいさんは無免許だということを認め、つい10分ほど前まで署内で取り調べを受けていたらしい。あの場ではふてぶてしい態度であったが、ここでは終始申し訳ないことを連呼し、反省していたらしい。ばあさんもじいさんが無免許ということを知りながら運転させていたため在宅起訴という形で今後改めて事情聴取を受けるそうだ。

警官は私と母ちゃんの供述をもとに作った調書を広げ読み上げ始めた。「間違いがあれば言ってください」と言われたが、朝の出来事を時系列できれいにまとめられ、間違いはなかった。間違いないことを私と母ちゃんは返事した。

最後に待ち構えていた究極の選択

最後の最後で警官はとんでもないことを私たちに言ってきた。のちに母ちゃんは、この警官のことを「結婚式の神父さんみたいだったね」と笑っていたが、私には地獄の閻魔様にしか見えなかった(見たことはないけど)。そう、警官は私たちにこう言ったのであった。

 

「アナタ達ハ、ジイサントバアサンニ、厳罰ヲ与エルコトヲ、望ミマスカ?」

 

 げ、厳罰を…の、望みますか…? へ? え? どういうことか意味が分からない? それって俺たちが決めることなのか? え? 普通、無免許運転した場合って懲役何年とか罰金いくらとか決まっていないのか? 厳罰を望みますかって何だ? 俺たちが厳罰を望んだらどうなる? 逆に望まなかった場合は? 完全に二人の頭は「?」でいっぱいだった。「じいさんは大変反省されているようですし、年も年なのでお二人が良ければ…」って、もし良ければなんなんだ? 許してあげてくださいってことか? ファミレスでメニュー決めるのに30分もかかる優柔不断夫婦にそんな重たいジャッジができるわけがない。

じいさんとばあさんの顔を思い出すと本当は厳罰にしたいところであったが、「罪を憎んで、人は憎まず」ではないが、厳罰を望まないことを書類に明記し事情聴取は終了した。

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保険屋に電話するが役に立たなかった

家に帰り車の保険屋に電話し、今日の出来事を説明する。じいさんが無免許なこと、任意保険には未加入なこと。どうやら0対10で完全にじいさんに責任があるらしい。0対10ということはお金はすべてじいさんが払わなければならない。それを聞いて一安心したのは束の間、保険屋が衝撃の一言を発するのである。

「では、失礼します」

はい、ありがとうございました…じゃねーよ。話は終わってないのに終わらせようとする保険屋。「いや、この後どうすりゃいいわけさ?」と、聞き返す。保険屋はこう言った。

「0対10の場合、保険屋にできることがありません。そもそも相手は任意保険に加入していませんし…。ご自分で修理屋で見積もりをとって、ご自分で修理費の回収を行ってください」

ほ~なるほど!。ってなるか~。またじいさんに会わないといけないのか? ほんで金出せや~て言わないといけないのか? これで払ってくれなかったらどうするのだろう?と、考えれば考えるほど泣けてきた…。

「あっ、そうそう、事故から日数が経過すると、修理費は全額払うと言っていた加害者も、時間が経過すると冷静になって払ってくれないことあるので急いだほうがいいですよ」だって。

「(じゃーお前がやってくれよ!)」と思ったが、もう疲れていたので、電話を切ることにした。

見積もりをとる

次の日ディーラーに車を持っていった。大変でしたねと慰めてくれる。ありがとう。そのやさしさに一瞬抱かれてもいいと思ったが、子どもを連れていたのでやめておいた。30分ほどで見積もりを作成してくれた。見積金額は15万円、果たしてじいさんは払ってくれるのだろうか…。

相手の家に電話して回収に行く

じいさんに教えてもらった家電に電話する。ばあさんが出るが、耳が遠いのか、すっとぼけを演じているのか話がかみ合わない。じいさんに代わってもらい、見積金額がでたこと、できれば近いうちにお金をもらいたいことを伝えた。「夕方以降ならいつでもいいので、とりに来い」というじいさん。「(お前が持って来いよ)」と思ったが、またじいさんが無免許運転したら嫌だったので、こちらから家まで行くことにした。払わなかったときのために、一度家を見ときたかったのもこちらから足を運んだ理由のひとつだった。

家につきインターホンを鳴らす。じいさん登場。一応軽い謝罪は受ける。説教してやりたい気持ちはやまやまだったが、正直に言えば修理費さえ回収できればあとはどうなろうとよかった。もちろん後々面倒なことには巻き込まれたくないので支払い証明書を作成し捺印してもらった。後は修理工場に車を出すだけだが、これは年明けになりそうだ。

 まとめ

今回はたまたま、車に傷がつくだけで済んだが、無免許運転は本当に危険だ。調べてみると年間3000件近くの無免許運転での事故が起きている。他人事ではないことに気づかされた。当然だが、無免許運転は絶対にダメだ。そんなものするかボケェ!と思うかもしれないが、うっかりしていて免許証の有効期限が切れている人も多いらしい。これも立派な無免許である。家族はもちろん職場内で定期的に確認することが必要かもしれない。警察だけに任しておくのではなく、無免許運転を減らしていく環境をつくらなければと思った事件だった。