読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

子育てイルカが笛を吹く

水族館飼育員が子育てのコト、動物のコト、おすすめ水族館・動物園のコトを書いています

子供がものや食べ物を投げて困る!行動分析のプロが教える2つの対応で簡単解決!

子育て 子育て-教育・しつけ

近頃、娘のある問題行動が増えてきていた。それは、テーブルの上のものを下に投げて落とすのである。お皿にスプーン、飲み物の入ったコップに、食べかけのパンまで。手の届く範囲にあるものをつかんで投げるのである。そのたびに「投げてはだめよ」と言い聞かせてるのだが、改善されている気配がなく困っている…。このような経験がある父ちゃんや母ちゃんもいるのではないでしょうか?

そこで今回は、こういった問題行動をどうやってやめさせればいいのか、というお話をしようと思う。イヤイヤ期に突入したお子様をお持ちの方には是非読んでいただきたい。少し長いので、まだお子様の問題行動がでていない方も備忘録がてらブックマークしてもらえればと思います。問題行動が出現しはじめたらぜひ読んでいただきたい。

 

 どうして子どもは「ものを投げる」?

f:id:kosodateiruka:20150521202001j:plain

まずは、どのような原理で「ものを投げる」という行動が繰り返されているかを調べるために、娘の行動を分析するところから始めた。

休みの日の朝、父ちゃんと娘は朝食のパンを食べていた。そして母ちゃんは台所で洗い物をしている状況だった。食べ始めて3分ぐらいたった時、娘がテーブルからコップを投げて落としたのだ。私は「でた!」と思いながら観察を続けていると、台所から母ちゃんが走ってきて「投げたらダメよ」と言った。その後「牛乳が飲みたかったの?」と言ってコップに牛乳を注いで娘に渡した。娘は牛乳を飲み、母ちゃんは台所に戻って行った。

それから3分ほどたった時、またコップを持ち上げ、そして床に投げた。しかもまだ牛乳がのこっているコップだ。牛乳は床に飛び散り、母ちゃんは大慌てで台所から走ってきた。「もう、落とさないでって言ったでしょ」と困った様子で言った。

 感のいい方ならもうお気づきでしょう。そうです、娘は台所から母ちゃんを呼びよせる手段として、コップを床に落としていたのです。

行動の原理でいうと、この行動は「強化(きょうか)」されたものです。。行動する→いいことがある→行動が繰り返す、となります。床にものを落とす→母ちゃんが来る→また床にものを落とす、となっている。最初は娘も偶然コップを床に落としたのでしょう。そうすると母ちゃんがやってきた。これを2~3回繰り返すと子どもはすぐに学習をします。「そうか、ものを落とすと母ちゃんがやってきてくれる」と覚えてしまうのです。繰り返される行動には必ず理由があります。行動の「直後」を観察すれば、その答えを容易に見つけることができるのです。

「ものを投げる」という問題行動を減らす方法

原理がわかったところで、さっそく問題行動を減らすための手続きを開始しました。行動を減らす手続きとして「罰」があります。でも私は決して「罰」は使いません。怒ったり、叩いたりして娘を嫌がらせてしつけをすることはやりません。「罰」を使わない理由はこちらに書いてます。ぜひ一度読んでいただければと思います。

kosodateiruka.hatenablog.com

今回は2つの方法を応用して、「ものを投げる」という行動を減らしてみました

まず1つ目は「消去」と呼ばれる手続きです。消去とは、行動する→何もない→行動が減る、というものです。ものを投げる→何もない→ものを投げなくなる、となります。「何もない」とは、母ちゃんが来ないこと、母ちゃんが反応しないことになります。ものを投げても、なにも望ましい環境変化がおきなければその行動は繰り返されないのです。例えばメールを送って、相手から返信があれば再びメールを送ると思いますが、メールを送っても、一向に返信のない相手にはメールを送るのをやめますよね?これと一緒です。

最初、母ちゃんにこの原理を説明をして理解してもらいます。娘がものを投げても、絶対に反応しないようにお願いした。どうしても反応しないといけないとき(例えば牛乳がこぼれているとき)は、娘を見ないように、声も出さないように淡々と片付けるようにお願いした。

これだけである程度、娘の問題行動は減らすことができるはずです。しかし、ここで解決しないといけないことがあります。娘の問題行動は減ったとしても、娘の「母ちゃんに来てほしい」という欲求は消えるわけではありません。

そこで2つ目の手続きを同時に行います。2つ目は「代替行動分化強化(だいたいこうどうぶんかきょうか)」です。なんか急に難しい言葉が出てきてびっくりしたかもしれませんが、説明すると大したことでありません。簡単にいうと、母ちゃんに来てほしいときには、コップを投げて呼ぶのではなく、代わりになる別の方法で呼ぶようしてもらう手続きです。今までは、コップを投げる→母ちゃんが来る、だったのを、「こっちよ~」と呼ぶ→母ちゃんが来る、に替えるのです。

「ものをなげる」をやめさせる具体的な方法

娘をハイチェアーに座らせて、私も椅子に座ります。目の前のテーブルにコップやスプーンを並べてご飯を開始します。案の定、娘はコップをつかもうと手を伸ばします。その瞬間に大きな声で、父ちゃんが「こっちよ~」と母ちゃんを呼びます。そうすると母ちゃんが台所からやってきます。父ちゃんも母ちゃんも少し大げさなぐらいにアクションしてください。2~3回ほど同じことを娘に見せてあげます。これをそのまま真似してくれれば…という狙いがあったのですが、そう簡単ではありませんでした。そこで、次にコップをとろうとしている瞬間に娘に、「こっちよ~」って母ちゃんを呼んでごらん、と促すように伝えてみました。娘が「こっちよ~」と言ってくれたので、その直後に母ちゃんに近づいてもらいます。これならいける!と確信したので、これを数回繰り返しました。しばらく繰り返したのち、今度はじっと待ってみました。すると、いつもならコップを投げる状況で、娘が「こっちよ~」と母ちゃんを呼んだのです。すかさず母ちゃんには近づいてもらい、私も一緒に娘を褒めてあげます。この間に数回、コップやスプーンを投げる行動が出現しましたが、その時は「消去」の手続きです。見て見ぬふりをしましょう。父ちゃんも母ちゃんもノーリアクションです。娘は「あれ?母ちゃんが来ない」という顔で二人を見ていました。

この2つの手続きを繰り返すと、娘は父ちゃんや母ちゃんを自分のところに呼びたいときは、ものを投げて呼ぶことは少なくなりました。さらに呼びたいときには「こっちよ~」と声に出して呼ぶようになってきたのです。

  • 問題行動を減らしたいときは「消去」を使いましょう。
  • 問題行動の直後に出現する環境変化を、問題行動に代わる別の行動の直後に出現させ、問題行動を望ましい行動に置き換えましょう

最後に

このような問題行動は、イヤイヤ期に突入するともっと頻繁に出現するのだろう。この時期のしつけや教育たいへん重要ではないでしょうか?問題行動にどうしたらいいかわからない、怒ってばかりでいいのかな、と思っている親御さんは一度試してみるのもいいと思います。行動の原理がわかってくれば、子どもにイライラすることも少なくなります。子育てをしている方の中には「そんな甘っちょろいやり方なんてダメだ!一喝したほうがいい」という方もいるでしょう。実際、一喝してください!と書いてあるサイトもあります。でも、私は子どもを叱りません。叱らなくても悪いことをしない子どもに育てることはできると信じています。

私の子育ては、「アメとムチの子育て」ではなく、「アメとアメなしの子育て」です。アメが「強化」で、アメなしが「消去」という手続きになるのです。

では、今回はこのへんで。

ご質問、ご批判なんでもコメントいただければ幸いです。

【関連記事】