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子育てイルカが笛を吹く

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子供を怒って育てる親に知っておいてほしい「罰の副作用」5つ【褒める子育て】

子育て 子育て-教育・しつけ

子育てをしていると、親の言うことを聞いてくれない、泣き止んでくれないってことはしょっちゅうありますよね。わが子にイライラし、ついカッとなって怒鳴ってしまうことってありませんか?

子供が悪いことをやってしまったとき、親はきちんと怒なければならない、と言われる一方で近年、「褒めて伸ばす叱らない子育て」という教育法を多くの教育評論家や心理学者が推奨しています。では「褒める子育て」と「怒る子育て」ってどちらが子どもにとって良いのでしょうか?

はっきり言ってどちらがいいかなんて、僕にはわかりません。おそらく家庭や生活環境によっても違うだろうし、性別やその子の性格によっても違うだろうし……。

僕は、我が子を怒ることはありません。とにかく褒めて、褒めて、褒めちぎって育てています。理由は簡単。怒ることには大きな副作用があるからなんです。

今日はこの怒る(罰を与える)ことの副作用についてお話をします。

イルカは怒って育てる?褒めて育てる?

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動物のトレーニングや調教というと、「ムチで叩いている」とか、「ボスと子分の関係で服従させている」などのイメージってないですか? 確かに犬やサルなどの調教ではしばしばみられる方法です。しかし、近年では動物調教の世界でも「怒らない調教」が主流となっています。僕もイルカやアシカを育てるうえで、決して怒ることはありません。もちろん怒りたくなる時もありますよ。言うこと聞かない時もあるし、ショー中だというのにメスイルカのお尻ばかり追いかけているオスイルカもいます。イライラして大声を出したいときだってあります。でも絶対に怒ることはありません。

怒るとはどういうこと?

行動分析学の世界では「怒る」という言葉はありません。あるのは「罰(ばつ)」という原理です。別名「弱化(じゃっか)」とも呼ばれます。

行動する→嫌なことがおきる→行動をやめるという具合です。

嫌なことがおきることを「嫌子(けんし)」と呼びます。例えば、イルカが人の手を噛む→ムチで叩かれる→噛むのをやめる、という感じです。

人間の場合なら、部屋を汚す→ママに怒られる→部屋を汚さなくなる、です。他にもスピード違反や飲酒運転などの罰金も有名な罰ですよね。僕は、この罰という方法をイルカには使いません。もちろん娘にも使いません。それは、イルカがかわいそうだからという人道的・倫理的な理由ではありません。科学的根拠に基づいた理由があるから使わないのです。

 子どもを叱ってはいけない、怒ってはいけない理由

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その答えは簡単です。罰には「副作用」があるからです。病院でもらう薬に、よく効く反面おおきな副作用があるように、上手に使えば非常に効果の高い「罰」ですが、いくつかの重大な副作用をおこす危険があるのです。「罰」をうまく使いこなせる人は、行動分析の専門家の中にも、なかなかいません。それを素人が使いこなせるわけがありません。逆にほとんどの人が副作用によって子供の抱える問題行動を大きくしてしまうのです。

ここからは罰の副作用について説明していきます。

副作用1 罰に慣れてしまう

繰り返し与える「嫌子」はイルカも子どもも、必ず慣れていきます。母ちゃんの説教は、最初は怖かったけど、繰り返し怒られるうちに段々と、ただの小言に代わるようなります。そうなると、今度はもっと大きな声で怒鳴らなければ、効かなくなります。そして、また少しすると、その大きな声で怒鳴られることにも慣れてしまい、効かなくなり、さらにもっと強くしなければならない。そうするうちにもっともっと強い嫌子(例えば、げんこつ)をしなければならなくなります。これの繰り返しで、与える嫌子はどんどんエスカレートしていくようになります。最終的にはこれが「虐待」へとつながることもあります。

副作用2 罰を与えられる状況を学習する

罰を繰り返すことによって、子どもは、いつ、だれから、どのように嫌子を与えるかを学習するようになります。母ちゃんがいつもげんこつをしてくるのなら、母ちゃんがいない保育園や家の外で悪いことをしても大丈夫だと学習し、母ちゃんがいないときだけ悪さをするようになります。また母ちゃんには悪さをしたことがばれないようにしたり、げんこつを食らう前に逃げるようになります。(宿題をしていないのに、宿題はないと嘘をついたり、割ったお皿を隠すようになる)

副作用3 攻撃的な行動が増える

罰を受けた子どもは、状況が変わって力関係で上位(強い側)になった場合、弱い相手に対して、同じような行動をとるようになります。また攻撃することによって、罰から逃れることを学習することがあります。母ちゃんがげんこつする→逆に攻撃する→げんこつがこない、という状況になってしまうと、母ちゃんに対して逆襲するようになります。

副作用4 積極性が失われる

いつも怒られるような子どもは、何をやっても怒られる、自分はダメだと自尊心を傷つけられた状態となります。その結果、無気力な状態で何もやらなくなってしまいます。また些細な出来事で他人を恨んだり、極度に他人を恐れたりすることが起きやすくなります。

副作用5 何かを教えたことにはならない

罰を受けて学習することは「罰から逃げること」だけです。こちらが望む「良い行動」は何一つ学んでいないのです。例えば、スピード違反や飲酒運転で多額の罰金を払っても、学習するのは「この道は警察はいないから大丈夫だろう」「この時間なら、検問はしていない」ということしか学習ていないのです。シートベルトを付けた後にいいことがなければ、シートベルトをつける行動は増えません。(強化の原理)

まとめ

僕が、子育ての時に決して子どもを怒らないのは、怒っても効果がないからです。効果がないどころか上記のような副作用がたっぷりあるからです。しかも怒ると疲れますし……。怒って解決する問題っていうのは、一つもありません。

僕は、アメとムチの子育てではなく、アメとアメなしの子育てをやるべきだと考えています。イルカも子どもも…。

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